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東京湾について

 狭義には、三浦半島の観音埼と房総半島の富津岬を結ぶ線より北側922㎢の平水区域であり、気象庁の津波予報区としては「東京湾内湾」と称します。広義には、三浦半島の剱埼と房総半島の洲埼を結んだ線より北側の1,320㎢であり、上記の「内湾」に「外湾」398㎢の沿海区域を加えています。

 「内湾」は比較的浅く富津岬沖には「中の洲」砂洲が広がり、中央には「中ノ瀬」海堆があり大型船の沖合錨泊地となっています。一方、「外湾」は、久里浜沖から急に深くなり500m超の海底谷で相模湾トラフに続き、湾口は南西に開いており、台風等で同方向からの強風浪が進入すれば船舶の入出航が妨げられます。

 湾内には、明治・大正期に造られた海堡等の人工島が多く、今や、自然島は横須賀沖の猿島だけで自然砂浜は木更津以南に限られています。湾岸には、神奈川県、東京都、千葉県に亘り、加工貿易の拠点である京浜工業地帯と京葉工業地域が在り、京浜港、千葉港、川崎港、横須賀港、木更津港の貿易港を擁します。これらの港に出入りする様々な船舶の安全運航を支援するのがハーバータグであり当社はその一翼を担っています。

 船舶交通が輻輳する東京湾には、海上交通安全法(昭和47年制定)により大型船舶の航行安全対策が図られ「浦賀水道航路」及び「中ノ瀬航路」が設けられています。前者は、久里浜から観音埼を経て追浜の沖に至る約15kmで幅1.8kmの対面分離通行帯、後者は、前者の北端から木更津と横浜の中間付近へ約10km延びる幅0.8kmの北航通行帯であり、その出口から北東へ約10㎞地点には、1997年に完成された「東京湾アクアライン」が在ります。全長50m以上の船舶は航路内航行が義務付けられ、また、全長200m以上の船舶は「巨大船」として扱われ、東京湾海上交通センター(観音埼)へ航路航行予定の通報と「進路警戒船」の配備が強制化されています。その草分けが当社のエスコートタグであり「進路警戒」に就いていますが、東京湾には500総トンの内航船から15万総トンの大型原油タンカー等が、1日に700から1000隻近く出入りします。そのうち、1万総トン以上の船舶には、「浦賀水道航路」手前から各行先港まで水先人を乗船させることが義務づけられています(強制水先制度)。

 環境面では、「東京海底谷」では河川からの有機物が沈殿するので栄養豊富な深海という特異性が、東京(江戸)の都市化と共に顕在化してきました。多摩川、鶴見川、荒川、江戸川が注ぎ湾口が狭いので海水塩分が低下して微生物の異常発生で赤潮が出現します。浦賀水道以南には黒潮で運ばれた南方系の魚やサンゴも生息し、メガマウスやミツクリザメなど世界的に希少な深海魚が捕獲されることもあります。沿岸や河川流域の開発が進むに連れ海洋環境の汚染防止が課題となっており、これに貢献することが当社の役割と考えます。

東京汽船
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